屋久島の高山植物
屋久島は亜熱帯から冷温帯までの植物が垂直分布している島です。
日本列島を凝縮したような多種多様な植物が生息しています。
本記事は屋久島の標高1000m付近から山頂付近に生息している、
屋久島の高山植物を紹介いたします。
屋久島の奥岳を登山する方たちに少しでもお役立ち情報になれば幸いです。
屋久島の高山植物
イッスンキンカ
イッスンキンカ きく科 花期 8~9月
本州に分布するアキノキリンソウの矮小化したのが、このイッスンキンカです。
屋久島の固有変種で、標高1500m以上の登山道脇や岩の割れ目に生育しています。
高さが3~6㎝ほどしかないことから、イッスン(一寸=3㎝)という名前がつきました。
なので、和名は「一寸金花」。
よく似ているアキノキリンソウは高さが70~80㎝ほどもあるので、屋久島の奥岳でかなり矮小化していることがよく分かる花です。
ツクシゼリ
ツクシゼリ せり科 花期 7~9月
屋久島が分布の南限。
標高1500m以上の登山道脇や岩の割れ目に生えています。
屋久島以外では、岡山、九州の山地に生息していますが、
そちらのツクシゼリは高さが20㎝以上にもなります。
しかし、屋久島の奥岳の山頂付近では高さ3㎝ほどに矮小化しているので、
屋久島の固有種または固有変種とする説もあります。
ヤクシマフウロ
ヤクシマフウロ ふうろそう科 花期 7~9月
屋久島の固有変種。
標高1800m付近の高地の岩場に他の植物に混じって生育しています。
ヤクザサの中をよく見ると咲いています。
高さは15㎝ほどの草丈に、約2㎝ほどの赤紫色の筋が入った綺麗な花を咲かせます。
実は環境省の絶滅危惧ⅠA類(絶滅の危険性が極めて高い)に指定されている植物で、
数がかなり減っている貴重な花です。
ヤクシマママコナ
ヤクシマママコナ ごまのはぐさ科 花期 8~9月
屋久島の固有変種。
小花之江河付近から登山道脇にたくさん生えています。
標高1600m前後の登山道沿いの日陰でよく見かけます。
「ママコナ」という不思議な名前は和名で書くと「飯子菜」で、
若い種子が米粒に似ていることからつけられました。
このママコナという植物の仲間は半寄生という面白い生態を持っています。
緑の葉っぱを持っているので自分で光合成をして栄養を作ることもできますが、
他の植物に寄生して栄養を奪うことも出来てしまいます!
可愛い花をしていますが、なかなかのちゃっかり者ですね。
ヤクシマコオトギリ
ヤクシマコオトギリ おとぎりそう科 花期 6~9月
屋久島の固有変種。
高さは約10㎝の小さい花です。
四国、九州などに分布するナガサキオトギリにとても近い種類です。
オトギリソウは薬草としても用いられている植物で、
茎葉根を乾燥し煎じて使用することで止血や月経不順効いたりします。
ヤクシマアザミ
ヤクシマアザミ きく科 花期 8~9月
種子島と屋久島の固有種。
紫色が目立つヤクシマアザミの花も見かけました。
標高1400m以上の林道や登山道脇に生える多年草です。
屋久島の高地で見かけるアザミはすべてこの種類になります。
葉の棘が本当に鋭いです。
ヒメウマノアシガタ きんぽうげ科 花期 7~8月
屋久島の固有変種。
キンポウゲを矮小化した花です。
高地の水たまりやミズゴケなどの中にへばりつくように咲いています。
全国に分布しているウマノアシガタは高さ30~60㎝ほどになりますが、
ヒメノウマノアシガタの花はわずか1㎝ほどしかありません。
つやつやとした光沢のある黄色い花が可愛らしいですね。
和名の「馬の足形(ウマノアシガタ)」というのは、
葉っぱである根生葉の形が馬の蹄に似ていることからつけられています。
シャクナンガンピ
シャクナンガンピ じんちょうげ科 花期 6~8月
屋久島の固有種。
標高1700m付近に見られる常緑低木でです。
黒味岳の頂上付近に多く見ることができます。
白と赤紫色の花の色合いがとても綺麗でよく目立ちます。
別名では「ヤクシマガンピ」とも呼ばれている貴重な植物。
心のない人の盗掘や鹿の食害などで数が減っており
現在絶滅危惧種に指定されています。
ヤクシマシオガマ
ヤクシマシオガマ ゴマノハグサ科 花期8~10月
屋久島の固有種。
標高1,800あたりの森林限界を抜けたあたりから
黒味岳の登山道沿いによく咲いています。
シダみたいな葉が特徴的で赤紫の花がよく目立ちます。
半寄生植物。
ヤクシマカラマツ
ヤクシマカラマツ きんぽうげ科 花期 7~9月
屋久島の固有変種。
標高1500m付近の登山道の日陰でよく見かけます。
北海道~九州に分布しているミヤマカラマツの変種になります。
よ~く見ると線香花火のようにも見える可愛らしい花です。
ヤクシマショウマ
ヤクシマショウマ ゆきのした科 花期 7~8月
屋久島の固有変種。
本土にあるアカショウマの変種です。
通常の花の色は白色ですが、写真のように綺麗な淡赤色が混じることもあります。
標高600m付近から奥岳までの沢沿いなどに多く分布しています。
涼しい所に咲いているのと花火のように見える花の形から、
どこか夏らしさを感じさせてくれる花です!
ノギラン
ノギラン ゆり科 花期 6~8月
北海道~九州にかけて分布している多年草。
屋久島では標高1400m付近の日当たりのよい岩の割れ目などに生息しています。
屋久島以外では高さ30㎝内外にまで生長しますが、
屋久島では矮小化していて高さ10㎝ほどのものが多くみられます。
日照時間が短く、雨風も強い厳しい屋久島の奥岳の環境では大きくなれないんです。
マルバヤマシグレ
マルバヤマシグレ すいかずら科 花期 6~8月
屋久島の固有変種。
標高1000m以上の林道や登山道脇に生息しています。
常緑樹の森で1年中緑が広がる屋久島の中でも珍しく真っ赤に紅葉する植物で、
秋になると屋久島の山を彩ってくれます!
鹿児島県の霧島山や高隈山に生息すつヤマシグレと比べると葉の幅が広く、
卵状長楕円形をしているのが特徴です。
ヤクシマニガナ
ヤクシマニガナ きく科 花期 6~7月
屋久島の固有変種。
標高1600~1700m付近の湿地に生息しています。
花之江河以外でも、奥岳の水気の多い場所に咲いています。
葉は幅約1㎝、長さ5㎝ほどで、葉縁の両側には3対ほどの鋸歯があります。
直径約2㎝ほどの花が咲き、6枚の舌状科があるところが特徴です。
葉や茎に苦味のある白い乳液を含むところから、ニガナ(苦菜)という名がつけられています。
コケスミレ
コケスミレ すみれ科 花期 6~7月
屋久島の固有変種。
日本全国に分布しているツボスミレ(ニョイスミレ)が
極端に矮小化したと考えられている植物です。
花は約7mmしかなく、
苔の中に隠れるように咲くのでよく見ないと気づかないです。
ヒメコナスビ
ヒメコナスビ さくらそう科 花期 6~7月
屋久島の固有変種。
コナスビが屋久島の高地で矮小化したと考えられています。
矮小化して「ヒメ」という名前が着くのが、屋久島の固有種では多いですよね。
高層の湿原や、水分の多い登山道脇などに生息しています。
別名でヤクシマコナスビと呼ばれることもあります。
花の直径は約1㎝。名前の通り本当に小さな花で見ていると癒されます。
ヤクシマホツツジ
ヤクシマホツツジ つつじ科
屋久島が分布の南限の植物です。
標高1500m付近にある、投げ石平から少し登るとよく咲いています。
高所で直射日光を受けるものは花弁が赤くなります。
オオヤマレンゲ
オオヤマレンゲ モクレン科
北関東~屋久島まで標高1000~2000mの高地に生育しています。
花期は梅雨時期の6中旬~7月にかけてで、
見ようと思うと梅雨の晴れ間を狙うか雨を覚悟する必要があります。
生育環境も尾根の筋の苔むした岩場に限られていて数も少ないので、
本州でも見るのが難しい花です。
この花を見れてとてもラッキーでした!
リョウブ
リョウブ りょうぶ科 花期 6~8月
トロッコ道沿いや白谷雲水峡でよく見かけます。
全国に分布している落葉小高木で、屋久島が分布の南限になります。
若葉をゆでてあく出しした後、
ご飯に炊きこんで令法飯(りょうぶめし)として食べれます。
アオツリバナ
アオツリバナ にしきぎ科 花期 5~6月
屋久島が分布の南限の植物。
赤くぶら下がってついているのがアオツリバナの花です。
鹿児島県の霧島山と宮崎県にしか分布していない全国的には珍しい植物です。
屋久島では、よく大木に着生している姿を見かけます。
花や果実がぶら下がっている様子が、「ツリバナ」という名前の由来です。
チャボシライトソウ
チャボシライトソウ ゆり科 花期 5~6月
本州(愛知・紀伊半島)、四国、九州と限られた地域に分布している植物で、
和歌山県や宮崎県では絶滅危惧種1B類に指定されています。
大株歩道入り口によく咲いています。
名前の「チャボ」というのは、
鶏のチャボ(矮鶏)のことで小型の「シライトソウ」ということを意味しています。
ヒメツルアリドオシ
ヒメツルアリドオシ あかね科 花期 6~8月
日本各地に分布しているツルアリドオシを矮小化したものです。
鹿児島県の大口市と屋久島だけに分布しています。
かなり限られた分布ですが、
屋久島では登山道沿いの斜面の苔の上や、湿った場所でよく見られます。
花は長さがわずか2㎝ほどしかなくとても小さいです。
夏に2本の花が並んで咲き、秋になると赤い実をつけます。
ヤクシマスミレ
ヤクシマスミレ すみれ科 花期 4~6月
徳之島、奄美、沖縄北部などにも分布。
ヤクシマミヤマスミレとよく似ていますが葉っぱが違います。
屋久島の固有種というわけではありません。
奄美や屋久島では苔の上によく生えていますが、沖縄では山地の渓流沿いの岩上に群生しています。
ハナヤマツルリンドウ
ハナヤマツルリンドウ (リンドウ科) 花期 9~10月
屋久島の固有種。標高1500m以上の山頂付近や登山道に生息しています。
屋久島の高山植物の中では花が大きいな~という印象です。
ツルリンドウの仲間に似ていますが、果実が細く、熟すと裂けるのが特徴です。
ヤクシマリンドウ
ヤクシマリンドウ (リンドウ科) 花期 7~9月
屋久島を代表する固有植物。絶滅危惧種に指定
標高1700mを越える高山の、山頂の岩の隙間に根を下ろして生息しています。
晴れた日にしか花は咲きません。
ヤクシマリンドウは台湾、中国の雲南省に近縁種が確認されています。
氷河期の時代、屋久島は日本列島と陸続きになっていただけではなく、
中国大陸ともつながっていたと考えられています。
ヤクシマシャクナゲ
ヤクシマシャクナゲ ツツジ科 花期5月下旬から6月中旬
屋久島の固有変種
標高1300m付近から山頂部に分布しています。
3年周期で花が多く咲く年が巡ってきます。
ワチガイソウ
ワチガイソウ (輪ちがい草) なでしこ科
屋久島が分布の南限
福島県以南の本州、四国、九州にも分布しています。
花はわずかに1㎝ほどで、根っこには豆粒ほどの膨らみがあります。
雄しべの先についている黒紫色の葯が、
白色の花といいアクセントになっていてかわいらしい花です。
キバナノコマノツメ
キバナノコマノツメ (黄花の駒の爪) すみれ科
屋久島が分布の南限
本州では中部以北に分布し、
日本アルプスや北海道の山ではよく見られるのですが、
西日本では四国の石鎚山にしか分布しておらず、
九州本土を飛び越して屋久島に生育しています。
氷河期に屋久島までやってきて、
そのまま屋久島の奥岳で生き残った植物の一つなんです。
ヒメコイワカガミ
ヒメコイワカガミ (姫小岩鏡) いわうめ科
屋久島の固有植物 (イワカガミの変種)
宮之浦岳や黒味岳の岩の割れ目によく咲いています。
です。
イワカガミという名前は岩場に生えていて、
葉っぱに鏡のような光沢があることに由来しています。
小さいことを意味する“ヒメ”と“コ”という言葉が名前に入っていて、
矮小化する屋久島の高山植物の特徴をよく表しています。
ヒメキクタビラコ
ヒメキクタビラコ (きく科) 花期 9~10月
屋久島の固有種。
標高1600mを越える高所の湿った日陰などで生育しています。
こちらの写真は花が白色ですが、ピンク色のものと2系統あるようです。
登山道では中々見られなくなっています。
ヒメウチワダイモンジソウ
ヒメウチワダイモンジソウ (ゆきのした科) 花期 9~10月
屋久島の固有種。
屋久島以外の地に生息する「ウチワダイモンジソウ」が、
ものすごく小さくなった矮小品種。
秋になると高所の沢沿いや、奥岳の頂上近くの日陰に苔に混じって生育しています。
花のデザインが独特で可愛らしいですよね~。
屋久島のベストシーズンや屋久島までのアクセス方法、おすすめの屋久島トレッキングツアーや観光スポット、2泊3日ツアープランなど、屋久島ツアーについての完全ガイドを解説いたします。
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大好きなこと。 ①音楽が大好きでバンドでギターを弾くのが楽しみ。 ②焚き火が大好きでダッチオーブンでサーモンやトビウオの燻製料理が得意。 ③旅が大好き ④キャンプが大好きで、縄文杉キャンプや焚き火キャンプツアーを催行している。 ⑤自給自足的な暮らしを目指しています。 ⑥写真や動画を撮るのが大好きで、YouTube番組 「屋久島パーソナルエコツアー」を配信しています。
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