屋久島の花
黒潮が流れる海に九州最高峰の山、宮之浦岳(1936m)がそびえたつ屋久島。また1800mを超す山々が7座もあり、まさに洋上アルプスといった感じの島が屋久島である。
屋久島の気候は、低地では亜熱帯の気候に属し年間平均気温は20度前後で一年中ハイビスカスなどが咲きます。
高地では平均年間気温が札幌ぐらいになり、冬に来ると2~3mぐらい雪が積もっていて、冷温帯~亜寒帯に属す植生になります。
沖縄から北海道までの植生が、直径わずか30キロメートルぐらいの島にそびえたつ急峻な山々に垂直分布し、まさに日本列島の縮図のような島になっているのが屋久島の最大の特長である。
・標高0m~500m付近では、ガジュマルやオオタニワタリなどの亜熱帯の森~照葉樹林
・標高600m~1500m付近では千年を超える屋久杉やツガ、モミなどの針葉樹林の大森林
・標高1700m~1900m付近では、ヤクザサやヤクシマシャクナゲなどの冷温帯の植生
というように、黒潮の暖流が屋久島の山地で一気に冷却され多量の雨を降らせ(年間雨量8000mm以上)、標高600m付近以上の森林内は湿度が高いため、林床から樹幹上までコケで密に覆われ、本土では地上にふつうに生えている植物も木の上に着生している珍しい現象も見られます。
さらに、高地では厳しい環境で育っているため、ふつうの植物の数分の1にも矮小化した植物が多いのも、他では見られない珍しい現象です。
現在までに分かっている屋久島の野生、帰化の植物は1350種で、うち固有種は40種になります。
ヒメウチワダイモンジソウ(ゆきのした科)
屋久島の固有品種。
標高1000m以上の湿った岩上に生育していて、屋久島以外の地に生育するウチワダイモンジソウがものすごく小さくなった矮小品種。10月になると、沢沿いに咲いている。大の文字に似てますね。
ホソバハグマ(きく科)
屋久島の固有種。
水しぶきのかかるような岩上に多く生育しており、標高50mぐらいの低地から標高1300mぐらいの谷川でも見られる。葉っぱが長いのでホソバ、ハグマといいます。 花期は9月~10月
モミジバキッコウハグマ(きく科)
葉が亀の甲に似ていることからキッコウという。キッコウハグマという和名で、全国に分布する高さ15cmほどの多年草がある。
屋久島にはその品種で、タマゴバキッコウハグマやマルバキッコウハグマと呼ばれるものが生育するが、どれも屋久島の固有品種になります。 花期 9月~10月
ヒメコナスビ(さくらそう科)
屋久島の固有変種。コナスビの矮小品。
標高1600m~1700m付近の登山道脇に多く見られる。全国にあるコナスビによく似ているが、屋久島の過酷な山頂部の環境では葉や花が大きいとそれだけダメージも大きいので、矮小化と言って、全体がものすごく小さくなって、その苛酷な環境に適応して生きているのです。花期 7月~8月
ヤクシマママコナ(ごまのはぐさ科)
屋久島の固有変種。
ママコナの仲間はどれも半寄生植物である。標高1400m以上で見かける。 高さは20cmほどである。 花期8~9月
ヒメツルアリドオシ(あかね科)
鹿児島県北部と屋久島だけに生育する。夏に2個並んだ白い花が咲き、秋になると、直径3mmほどの楕円形の赤い果実をつけます。 標高500mぐらいから1600mぐらいまで見られます。アリドオシとの類縁関係はない。花期 9月~12月
ヤクシマリンドウ(りんどう科)
屋久島の固有種。
標高1700mを越える高山の、山頂の岩の隙間に根を下ろして生育している。乱獲もあり、絶滅危惧種に指定されている。晴れた日にしか花は咲かないのでこの写真はかなりラッキーでした。
ヤクシマフウロ(ふうろそう科)
屋久島の固有変種で、標高1800m付近の高山の岩屋に他の植物に混じって生育する。
花は直径2cmぐらい。夏に、うすい紫色のすじの入った美しい花を咲かせる。
イッスンキンカ(きく科)
屋久島の固有変種。
1200m以上の山なら、山頂近くの岩肌に生息している。
もともと、本土にあるアキノキリンソウが、屋久島の山で矮小化して、すごく小さくなったのが、この、イッスンキンカ。
氷河期のときに屋久島まで南下してきた植物が、屋久島の山間部でそのまま生き残り、屋久島の固有の植物になってしまった。というパターンが多いですね。
シャクナンガンピ (じんちょうげ科)
屋久島の固有植物。標高1700m付近から高所に見られる。
茎の高さ50~100cmの常緑低木で、岩上や地上に生息している。
絶滅危惧種。 花期は6~8月
ヤクシマホツツジ (つつじ科)
ヤクシマという名をもらっていますが、本州西部や四国にも生息している。
屋久島を分布の南限とし、標高1500mを超える辺りから見かけられるが、多くはスギの樹幹などに着生し白い花を咲かせる。花期 7~9月
ツクシゼリ (せり科)
九州の高山に分布し、屋久島を分布の南限とする多年草。
屋久島の標高1500m以上で見かけるのは、高さ3cmほどのごく小形のもの。
ヒナボウフウと称して、屋久島固有のものとする説もある。
花期 7~9月
ハナヤマツルリンドウ (りんどう科)
屋久島の固有種。
標高1500m付近の山頂付近で見かける。
ツルリンドウの仲間に似るが、果実が細長く、乾くと裂けることが最大の特徴。
花期 9月
ヤクシマシオガマ (ごまのはぐさ科)
屋久島の固有種。
標高1800mほどになると周囲の植物の高さも1m足らずになるが、その根元に、シダのような葉をもちながらも、紫色のひときわ美しい花がこれです。
花期 8~10月
サクララン ガガイモ科 花期6月
亜熱帯の林内にはえる多肉質のつる草で、茎は長く、樹幹や岩の面をはいのぼる。 右の写真の右上の葉がサクラランの葉でかなり肉厚。 日陰でも光合成をためやすいように葉が厚いといわれています。 九州南部~琉球、台湾、熱帯アジアに分布しています。
テッポウユリ ユリ科 花期4~5月
屋久島を分布の北限とする多年草で、観賞用に広く栽培せれています。
屋久島では、海岸近くの岩場や草むらに自生しています。
この時期になると、屋久島のお墓によく供えられています。
ジャケツイバラ まめ科 花期 4月~5月
関東から西に分布し、山野や川岸に生育するつる性の落葉低木。
下向きに鋭いとげをもつ枝が伸ばして広がるので、触ることはできないですね。
ギンリョウソウ いちやくそう科 花期5月~7月
全国に分布する腐生植物。林内の湿り気のある腐植土の上に生える。
全体に白色でろうそくのような感じがし、その形を竜に見た立てて銀竜草の名がついいる。 また、薄暗い林内にはえるこの草の形からユウレイタケともいう。
コガクウツギ ユキノシタ科 花期4月~6月
伊豆諸島以南に分布する落葉の低木。 葉は小型で、幅約1.5cm、長さは約3cm。屋久島では標高500m付近からよく見かけます。 低地にもっと葉がもっと大きく鋸歯が鋭いので、ヤクシマアジサイ(屋久島の固有種)があります。
ヒメアリドオシ アカネ科 花期4月~5月
アリドオシの変種で枝がよく分枝し葉が小さい。
葉と同じ長さのとげがり、アリも突き刺す、というところから、アリドオシという。
白い花を咲かせ、秋に直径5mmぐらいの果実が赤く熟す。
お金が「有り通し」とかけて、お正月にセンリョウ、マンリョウと寄せ植えしたりもする
コショウノキ ジンチョウゲ科 花期4月~5月
葉と同じ長さのとげがり、アリも突き刺す、というところから、アリドオシという。
白い花を咲かせ、秋に直径5mmぐらいの果実が赤く熟す。
お金が「有り通し」とかけて、お正月にセンリョウ、マンリョウと寄せ植えしたりもする
ヤクシマシャクナゲ (つつじ科)
屋久島に自生する固有変種で標高1200mを超えるあたりから多く見られます。 この写真は5月17日に撮影したもので今年は若干早めに咲いています。 3分咲きぐらいが一番きれいですね。 花期5~6月
アセビ(つつじ科)
本州にもある植物で屋久島が分布の南限になります。
1500mを超えて丈の低い植物だけになったあたりではアセビが群落を作っていて目立つ。
アカボシタツナミソウ(しそ科)
海岸近くの岩場や沢沿いに群生しています。茎の高さは20cmぐらいで、
花は長さ3cmぐらいです。白い文様が立浪というところから、タツナミソウという。
花期 3~5月
ツクシショウジョウバカマ(ゆり科 ショウジョウバカマ属)
本州によくあるものは、花が紫色で、和名では猩々袴の意で、花の色を猩々の赤い顔に、根出葉をその袴にたとえたものといわれる。
屋久島には、本土にあるショウジョウバカマはなく、白色のツクシショウジョウバカマしかありません。 ただ、この写真のツクシショウジョウバカマは、
標高1700m付近にしかなく、少し紫色をいており、変種だと思われます。
サキシマフヨウ(あおい科)
九州南部以南に分布する落葉低木。 だいたい高さ3mぐらいになります。
花は直径12cmほどで、色は白~ピンク色で美しいです。人里や道沿いに多く咲いている。
花は一日で終わりで、次から次と10月~11月ぐらいまで咲きます。
ウラジロフジウツギ(ふじうつぎ科)
コフジウツギの変種で、鹿児島南部~屋久島以南に分布しています。
コフジウツギに似ていますが、葉の裏に毛が密生していて、白く見えるとこで区別される。
葉の裏が白いので、ウラジロ・・・という。花期 6月~9月
ハイノキ(ハイノキ科)
近畿地方~西に分布していて、屋久島が分布の南限とする常緑樹。
初夏から枝先に白い花をいっぱい咲かせ、この時期に屋久島に来られた方は、だれも見落とすことのない美しい花です。 花期 5~6月
オオカメノキ(スイカズラ科)
全国に分布しています。屋久島が分布の南限になります。
5月上旬に、小さな花の集まりのまわりに、大きな白色の両性花があって美しいですね。
アブラギリ(とうだいぐさ科)
中国原産の落葉高木。5月の屋久島では、道沿いをドライブしていると必ず見るのがこのアブラギリです。「種子から桐油を取るために江戸時代に中国から持ってきたも」と書いてありますが、今度その身で実際どのようにして油が取れるのか実験してみたいですね(笑
ツクシタニギキョウ(筑紫谷桔梗)(キキョウ科タニギキョウ属)
やっと撮ることができました!縄文杉コースの大株歩道で咲いていました(5月22日)。
タニギキョウよりもかなり小さな花ですが、ブレることなく撮れたのがこの1枚です。
北海道~九州の山地の木陰に分布。 花期 5月~8月
チャボシライトソウ ユリ科 シライトソウ属
特徴は草丈15~40cmの多年草でシライトソウに比べて小型で、今出葉は卵型。
ナナカマド バラ科ナナカマド属の落葉高木。
「ナナカマド」という和名は、”大変燃えにくく、7度かまどに入れても燃えない”ということから付けられたという説が、広く流布している。その他に、”7度焼くと良質の炭になる”という説や、食器にすると丈夫で壊れにくい事から”かまどが7度駄目になるくらいの期間使用できる”という説などもある。
秋になると真っ赤紅葉するナナカマドですが、屋久島では北海道のようにあんなに真っ赤に紅葉はしません。やはり温度差があったほうが赤くなりますよね。屋久島では屋久杉に着生しているナナカマドが秋になると屋久杉の上で紅葉してきれいですね。
ヤクシマショウマ(ゆきのした科) 花期7月~9月
アカショウマの変種で、屋久島の固有変種になります。
標高400mぐらいの沢沿いによく咲いる、渓流沿い植物です。
白谷雲水峡でもよく見かけますが、この写真は標高1500m付近にある、投げ石平の水場に咲いていました。
高所の方がピンク色が多くきれいに咲いている。
ヒメウマノアシガタ(キンポウゲ科)花期7~8月
屋久島の固有種です。標高1600mから1700m付近の高層湿原でよく見られます。
花は直径1cm足らずで、黄色い光沢のある花弁を5枚持つ。馬のアシ型に似ているのでこの名がついています。
ヤクシマニガナ(きく科) 花期(6~7月)
屋久島の固有種。 標高1600m~1700m付近の湿地に生育し、7月が一番多く咲いています。
葉は幅1cmぐらいで、長さが5cmくらいで、縁に鋸歯が3対ほどある。10cmほどの花茎の先に、
直径やく2cmの黄色の花が咲きく。6枚の舌状花があるところが特長ですね。
ヤクシマコオトギリ(オトギリソウ科) 花期 6月~9月
屋久島の固有変種。花之江河から上の、高所の湧水が流れているような場所に多く咲いてます。
6月の末ごろから咲き始め、長い雄しべがよく目立つ花です。
「ナガサキオトギリ」の矮小品に当たります。
ヒメキクタビラコ(きく科) 花期 9~10月
屋久島の固有種です。標高1600mを越える高所の湿った日陰などで生育しています。
こちらの写真は花が白色ですが、ピンク色のものと2系統あります。
登山道では中々見られなくなっているそうなので、見つける事ができてラッキーでした!
サザンカ つばき科 花期 10~11月
山野に自生する常緑の小高木。高さ5~6m。葉も幹もツバキに似るが、ツバキよりかなり小さい。
晩秋から初冬にかけて、径5~8㎝程のやや大きな5弁花を咲かせる。
「山茶花」と書いて「サザンカ」と読み、お茶席の一輪ざしに欠かせない。
オオゴカヨウオウレン(キンポウゲ科)
屋久島の標高600m付近から岩や樹皮についていて、葉は一年中見られます。
全国にあるオウレン属は、ミツバオウレン、バイカオウレンなどがありますが、オオゴカヨウオウレンは屋久島にしかない固有種になります。
オガタマノキ(モクレン科)
オガタマというのは、招霊のことといわれ、神事に用いられてきた。
香りが高く、神社や庭によく植えられます。材はかたくて、家具材にすると高級品です。
アオモジ(クスノキ科)
本州では西日本に分布しています。
山野などに分布していますが、特に伐採後に明かりがたくさん入っているところに多い落葉小高木。
枝は緑色で、葉の裏は白っぽくなっています。花や果実をつぶすとスーッとした香りがしてきます。
昔はこのアオモジから香料を作っていたといいます。島ではこのアオモジのことを、ホイノ木と呼んで
花枝は仏前に供える風習が今でもあります。
ナンバンキブシ(キブシ科)
高さ3m~4mほどの落葉低木で、屋久島では春を告げる代表的な花の一つ。
薄黄色の花をすだれ状に垂らしてつけていて、よく道路沿いでも見かける。
花のつき方が独特で面白いですね。車とかを運転しいていてもついつい目を惹かれてしまう花です
ハドノキ(イラクサ科)
林道脇や川筋でよく見かける高さ2~3mの常緑低木。
花っぽくはないですが、葉の下の枝に密集してついているのがハドノキの花です。
昔はヤギやウサギの飼料としても使用していました。
僕はまだ聞いたことがないですが、屋久島では「ゴメジョンキ」とも呼ばれるそうです。
リンゴツバキ(ツバキ科)
ヤブツバキの変種で、屋久島の照葉樹林を代表する樹木です。
屋久島の他にも四国や九州の南部などにも分布しています。
街路樹としても植えてあるので、今の時期は森でも町でもたくさんのツバキの花が見れます。
蜜が非常に甘くヤクザルもよく花を真っ二つに裂いて花の蜜をすったりしています。
リンゴのような大きく赤い実をつけるので「リンゴツバキ」という名がついているのですが、木になっている実物を見ると本当にリンゴそっくりでびっくりしますよ!
シキミ(シキミ科)
関東以西の四国、九州、沖縄など比較的暖かい地域の山地に見られる常緑小高木です。
以前はモクレン科に分類されていましたが、今では独立してシキミ科に分類されています。
樹皮や葉を乾燥させて抹香や線香として使用したり、枝葉を仏壇に供えたりするなど仏事と関連の深い樹木です。
綺麗なクリーム色の花を咲かせていますが、実は樹木全体に毒があり特に果実は猛毒です…。
けっして口にはいれないように注意して下さいね!
ただ、葉をちぎって香りを嗅ぐとスーッとして匂いがしてとても気持ちがいいです。
スダジイ (ブナ科)
屋久島の照葉樹林帯を構成する代表的な高木。
ぶな科の仲間なので、秋になるとドングリの実をつけます。
特にこのスダジイの実はアクが少なくて食べやすい部類に入るので、古くから食用とされてきました。
縄文遺跡からもスダジイの果実の遺体が出土しているようです。
ミヤマシキミ(ミカン科) 花期 4~5月
山地に生える高さ1m前後の常緑低木。屋久島では標高500m以上で見られます。
細長い葉は厚く光沢があり、枝元に輪生する。
春になると枝先に多数の白い花をつける。
秋には真っ赤な実が枝先にまとまってつくのでよく目立つ。
和名の由来はシキミに似ていて、深山(みやま)に生えていることから「ミヤマシキミ」と付けられました。
シャリンバイ(ばら科) 花期 3~5月
海岸近くに生える常緑低木で、大気汚染や潮風に強いので街路樹や公園にもよく使われます。
葉が車輪のようについて、花が梅の花に似ていることが名前の由来です。和名は「車輪梅」。
庭木として栽培されるほかに、樹皮は奄美特産の大島袖の染料になります。
屋久島では方言名で「ヘコハチ」と呼ばれます。
トベラ(とべら科) 花期 3~5月
本来は海岸の崖地などに生育する常緑低木ですが、
潮風や乾燥に強いことから街路樹や公園にもよく植栽されています。
屋久島でもよく道路沿いで見かけますね。
節分の時に鬼よけとしてこのトベラの枝葉を扉にはさんで利用したので、「扉の木」となり、
トベラという名前になりました。
花は芳香がありますが、葉っぱの臭いがけっこう強烈です…。
葉っぱをちぎって臭いを嗅いだりするのはあまりオススメできない植物です(笑)
ハマヒルガオ(ひるがお科) 花期 3~5月
海岸の砂地に生えるつる性の多年草です。
日本では北海道~南西諸島、その他にもアジア、ヨーロッパ、太平洋諸島オーストラリア、
アメリカ太平洋海岸にも分布しています。
調べてみると分布の範囲がものすごく広くてびっくりしました!
花は4~5㎝ぐらいで葉も2~2.5㎝ほどしかない小さな植物ですが、生命力と繁殖力が強いんでしょうね~。
淡い紅紫色の花の色がすごく優しい雰囲気で見てるとホッとします。
エゴノキ(えごのき科) 花期 3~5月
山地や林道沿いに生える高さ7~8mほどの落葉高木で、本州にも広く分布しています。
1~2㎝ほどの小さな白色の花を下向きに咲かせるのが特徴的です。
若い果皮が有毒で、「えぐい」ところから名前がつきました。
その有毒な実をすりつぶして、川に流して魚を麻痺させて捕まえるために利用されたこともあるそうです。
センダン(せんだん科) 花期 5~6月
温かい海岸沿いの地域などに分布し、本州では四国~沖縄までが本来の自生とされています。
特に西日本では校庭や公園に植えられていることも多く、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
屋久島でも校庭にセンダンが植えられているのを見かけます。
白色と紫色のグラデーションが綺麗な花です。
キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪) (すみれ科)
屋久島が分布の南限の植物ですが、ちょっと面白い分布の仕方をしています。
本州では、中部以北に分布し、日本アルプスや北海道の山ではよく見られるのですが、
西日本では四国の石鎚山にしか分布しておらず、九州本土を飛び越して屋久島に生育しています。
氷河期に屋久島までやってきて、そのまま屋久島の奥岳で生き残った植物の一つなんでしょうね~。
ワチガイソウ(輪ちがい草) (なでしこ科)
福島県以南の本州、四国、九州にも分布しており、屋久島が分布の南限になります。
花はわずかに1㎝ほどで、根っこには豆粒ほどの膨らみがあるようです。
雄しべの先についている黒紫色の葯が、白色の花といいアクセントになっていてかわいらしい花です。
ヤクシマミヤマスミレ(すみれ科) 花期 5~7月
屋久島の固有変種.
屋久島の標高500m~1700m付近に生息しています。
鹿児島県の霧島山でも多く見かけるヒメミヤマスミレの矮小品種になります。
高さは2~3㎝ほどでとても小さく、おまけに葉っぱもハート型をしているとても可愛らしいすみれです。
リョウブ(りょうぶ科) 花期 6~8月
全国に分布している落葉小高木で、屋久島が分布の南限になります。
若葉をゆでてあく出しした後、ご飯に炊きこんで令法飯(りょうぶめし)と称して食べていた地方もあるようです。
虫を引きつける匂いと蜜をたくさん出す花のようで、夏場にかけてたくさんの昆虫が訪れる様子は「森のレストラン」と例えられることもあります。
ツルアジサイ(ゆきのした科) 花期 6~7月
屋久島を分布の南限とする落葉のつる性低木で、長さは10m前後にもなり、岩や木にはい上がるようにして絡み着いて生育しています。
周りにある白い花のようなものは実は花ではなく装飾花と呼ばれる部分で、花びらに見える部分はがく弁です。
中央に密集して咲いているのが本当の花で、この日もハチが一生懸命に蜜を集めていました。
色んな木に絡み着いているので、「あれ?この木ってこんな花が咲くっけ?」と一瞬惑わされることもあります(笑)
オオヤマレンゲ(モクレン科)
北関東~屋久島まで標高1000~2000mの高地に生育しています。
花期は梅雨時期の6中旬~7月にかけてで、見ようと思うと梅雨の晴れ間を狙うか雨を覚悟する必要があります。
そのうえ、生育環境も尾根の筋の苔むした岩場に限られていて数も少ないので、
屋久島だけでなく本州でも見るのが難しい花のようです。