屋久島の風景
黒潮の海上に浮かぶ島、屋久島。屋久島は海岸線からいきなり急峻にそそり立つ山岳島で、九州最高峰の宮之浦岳(1936m)をはじめ、北西に永田岳(1867m)、南東に栗生岳(1867m)など九州の上位7位までがこの島に連立している様子はまさに洋上アルプスといわれるのにふさわしい景観である。
屋久島の最大の特長は、亜熱帯から亜寒帯までの植生がこの険しい急峻な山々に垂直分布している様子で、まさに日本の植生の縮図と行ってもいい。
世界最大級の照葉樹林が海岸線から広がり、標高600m付近では苔むした緑の森に覆われ、標高1000m付近からは縄文杉をはじめ樹齢数千年の屋久杉の森が残っている。そして標高1700m付近からは森林限界に達し、ヤクシマシャクナゲやヤクザサなど矮小化した屋久島独特な固有の植物が生息している。
このように標高帯によってさまざまな表情を見せるのが屋久島の最大の魅力でもあり、世界自然遺産に選ばれた最大の理由でもあるのです。
また、季節によって移り変わっていく屋久島の美しい風景をご紹介いたします。
屋久島の海、滝、沢、苔、岩、森、山、木・・・など今までにガイド青木が撮りためた写真です。
屋久島の海
海岸線からそそり立つ永田岳(1886m) 屋久島の人里から唯一奥岳が見えるのがこの永田岳です。冬は雪が2m以上積もりまさに洋上アルプスといった感じの景観になります。
7月下旬、東シナ海に沈む夕日。宮之浦から一湊を過ぎると小さいトンネルがあります。 そのトンネルを抜けると屋久島の夕日ポイントになります。夏になると正面の口永良部島の右側に夕日が沈みます。
屋久島の北側にある一湊の海水浴場。夏でもあまり人がいなくきれいな海水浴場です。この半島の左側に洞窟の中にある矢筈神社があります。
屋久島の西側にある照葉樹林を下っていくと、このような花崗岩の巨石があります。 およそ1400万年前に花崗岩マグマが隆起してできた屋久島。 屋久島全体が花崗岩の巨星の島なのです。
屋久島の西側に生息している通称西部林道といわれている照葉樹林。カシ・シイ類の常緑樹の森でヤクサルやヤクシカが一番多く生息しているエリアです。
照葉樹林の森の中にある沢。屋久島のはこのような誰もいない沢が無数にあり、まさに水の島。
照葉樹林の森の中に突如現れる、ガジュマルの巨木。 おそらく屋久島で一番大きいガジュマルの巨木。幹を切っても芯には他の木があったりして年輪もなく樹齢はよくわからない。ひょっとすると数千年とか生きているのかもしれないですね。
標高600mから1000m付近にある白谷雲水峡。苔むした緑の森でもののけ姫で有名になったエリアでもある。 春が来ると、ミソサザイ、コマドリ、ヤマガラ、ウグイスなどたくさんな野鳥たちが鳴いています。
苔むした緑の森。雨上がりは苔の状態が良く、雫が光ってみずみずしいですね! ここで立ち止まってしばらく深呼吸。脳の奥まで緑色になりそう(笑
白谷雲水峡は小さな渓流がいたるところに流れていて適度に湿度高く、また南北に急峻な山に囲まれているため日照時間が短くまた雨も多いため、屋久島の中では最も苔に適した環境である。
標高600mを超えると、年間雨量が8000ミリを超える屋久島。こんなに水が豊富な島がほかにあるだろか。まさに水の循環の島といっていいだろう。 超軟水の水ですべて飲めるのも驚きである。
太鼓岩からの絶景。3月下旬から4月上旬まで山桜が満開の時期でヤクシマオナガカエデなどの新緑とのコントラストがとてもきれいです。
苔むした緑にダイヤモンドのように光る雫
太鼓岩からの絶景。右奥から宮之浦岳、翁岳、安房岳、と1800mを超す山々がパノラマで見られる。
白谷雲水峡の原生林コースに流れる沢。 しばらく目を閉じて沢のせせらぎを聞いてみる。深呼吸をして森のささやきを聞いてみる。五感を開いて森を感じてみる。 森林浴がとても気持ちいい。
静寂した樹齢千年を超す屋久杉の森を歩いていると悠久の時の流れを感じ、自分の人生の短さに気づく。
天文の泉。苔に何重にも、ろ過された水。屋久島だけで苔の種類が650種以上ある。まさに苔の宝庫だ。
屋久杉ランドの奥に流れる荒川の支流。5月には沢沿いに河原さつきが咲く。秋になると沢沿いにヒメウチワダイモンジソウなど屋久島の固有種の花が見られる。
朝日を浴びた縄文杉。日本最大級の杉で、胸高周囲が16.4m、直径が約5.2mの巨木。 推定樹齢約7200年説もあるがなかなか人間にはその正確な樹齢はわからない。とにかく太古の昔から生き続けている、屋久島の聖老人である。
夕刻、高塚小屋正面のヒメシャラの森に差し込む夕日のシャワー! ヒメシャラがさらに赤く染まる。
淀川小屋のすぐそばを流れる淀川。 まるで鏡のような清流が静かに流れる。春先の明け方にはミソサザイ、コマドリ、ウグイス、アオゲラ、トラツグミなどがたくさん鳴きます。
標高約1600mにある日本最南端の高層湿原、小花ノ江河。矮小化した屋久島固有の植物が観察できる。
屋久島大縦走キャンプ。 森林限界を超えてくるとヤクザサ、シャクナゲ、ビャクシンなどの風小低木林になり、風景が一変する。 正面に見える山が翁岳(1868m)
この花崗岩の巨石の上が黒味岳(1831m)の頂上です。 天気がいい日には洋上アルプスのパノラマが見られ、まさに絶景です。
永田岳(1886m)の鞍部からの風景。この景色を見ていると島ということを忘れてしまう。
永田岳を超えて、1時間下ると見えてくるロウソク岩。雲海の上にそびえる花崗岩の巨石はまさに天空の島。
このロングトレイルをのんびり歩いて行こう。谷ありや山あり。。まるで自分の人生のようだ。
黒味岳頂上から見れる屋久島の絶景ポイント。雲海の奥には水平線が見え、洋上アルプスを実感できる。
5月下旬、頂上付近ではヤクシマシャクナゲの花が山一面に咲き、まさに桃源郷とはこのことかと思う。
落差68mの千尋の滝。山に降る年間8000ミリの雨が急峻な山から一揆に流れ落ちる水の循環に圧倒されます。
栗生川の上流にあるお谷ケ滝。この滝壺から見るこの滝は本当に大迫力です!
海に直接流れ落ちるトローキの滝。シーカヤックで滝下まで行くことができます。新緑の時期がベストですね